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離婚にあたって避けて通れない親権と養育費の問題について

離婚問題の中でも、未成年のお子さんがいるご夫婦が避けて通れないのが、親権や養育費といった子どもに関する問題です。親権が決まらなければ離婚そのものができません。
養育費は決めなくても離婚はできますが、離婚した後に相手と連絡がとれなくなるなど、問題を先送りすることで解決が難しくなってしまうことも少なくありません。
今回は、多数ある離婚に関する問題の中から、親権と養育費についてご説明いたします。

親権の決め方

親権については、まず夫婦で話し合いをすることが多いと思われます。
しかし、夫婦で話し合いをしても合意に至らなかったり、夫婦間で話し合い自体ができないようであれば、いずれかが家庭裁判所に調停の申し立てを行います。基本的には、申し立てた側が有利ということはありません。
調停でも合意に至らなければ、最終的には裁判所が親権者を決定します。
裁判所が親権者を決定する際の考慮要素は次の通りです。

1.監護の継続性

基本的に、これまで主にお子さんの身の回りの世話をしてきた方が親権者に指定されることになります。結果的に、特に年少のお子さんの親権者は母親が指定されることが多くなっています。
もちろん、父親の方が母親よりもお子さんが生まれてから現在までの身の回りの世話(おむつ交換、寝かしつけ、予防接種、着替え、食事の準備等)をしてきたのであれば、父親が指定されることもあり得ます。
これまでお子さんの身の回りの世話をしてお子さんと日常的に接していた親を親権者として監護状態を継続させた方が、お子さんの情緒の安定につながるという考え方が基本にあります。ですから、例えば、一方の親が普段子どもの身の回りの世話をし、もう一方の親は週末に子どもと遊びに出る、といった生活パターンの家庭であれば、前者が親権を取得して監護を継続し、後者は面会交流という形で週末に子どもを遊ぶ、といった結論になることが多いと思われます。

2.子どもの意思の尊重

お子さんにもよりますが、年齢が大きくなればなるほど、お子さん自身の意向が重視されます。
15歳以上の子どもについては、裁判所が直接子どもに意思を確認することが法律上必要とされていますが、実務上は15歳未満の子どもについても意思確認が行われています。
例えば18歳や19歳の子どもが、よく考えたうえで一方の親と一緒に暮らすことを希望しているようであれば、その意向に反して親権者を決めたとしても、子ども自身がもう一方の親のところに行ってしまうこともできます。
また、小学校高学年程度以上の子どもが、きちんとした理由をもって一方の親との生活を強く希望しているのであれば、その意向は相当程度重視されることになると思います。

3.きょうだいの不分離

特別な事情がなければ、いくら親権争いが激化したとしても、裁判所が子どもの親権をそれぞれ別の親に分けて指定することはありません。特別な事情として考えられるのは、例えば、子どもが既に別々の親の元で生活を始めておりその状態で安定しているとか、大学生くらいの子どもがそれぞれ別の親との生活を希望しているような場合等が考えられます。
もちろん、これとは別に、親同士が納得して合意すれば、きょうだいの親権を分けることは可能です。

4.母性優先

これは、本来は母「親」優先の原則ではありません。子どもの年齢が小さければ小さいほど、日常的なスキンシップやきめ細やかな身の回りの世話と言った母性的な関係を持っている方が親権者に指定されやすくなるという原則です。
1の監護の継続性と内容が重複する部分が大きいと思います。

よくある誤解

①親権者は、あくまでお子さんにとってどちらがよいかという観点から決められますので、例えば不貞や借金をしていたからといって、それだけで親権者として不適格とされることはありません。不貞相手と一緒に子どもを虐待しているとか、借金のせいで子どもが食べるものに困っているといった、子どもにとって不利益な事態が起きていれば、そのことが親権者となる上でマイナス評価されることになります。

②また、収入の多い方が親権を取得するということにもなりません。お子さんの身の回りの世話をするために、仕事をしていなかったり収入が少なかったりした場合でも、親権者になることができる可能性は十分あります。

養育費の決め方

養育費は親権者となった親のためではなく、子どものためのお金です。そのため、離婚の際に親権者側が養育費を要求しないと約束したとしても、子どもが親から扶養を受ける権利までは放棄できません。
養育費も親権と同様に夫婦間での話し合いで取り決めることが可能ですが、まとまらない場合は家庭裁判所へ養育費の調停を申し立てます。

調停では、それぞれの希望額をもとに第三者である調停委員が調整を試みます。
最近では、調停の序盤から、収入がわかる資料(所得証明書、源泉徴収票、給与明細、確定申告書の控え等)を双方から提出させ、裁判所作成の「養育費算定表」をもとにした金額を示してくることも多いように思います。「養育費算定表」で検索するといくつかヒットするはずですので、養育費の目安はそちらでご確認ください。算定表の見方ですが、「権利者」が養育費をもらう権利を有する親権者、「義務者」が養育費を支払う義務を負う方です。収入は給与所得者の場合、額面であって手取りではありませんのでご注意ください。

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